ドイツの専門誌mavにAudiの金型部門に納入されたDMU600 Gantry linearの記事が掲載された
https://mav.industrie.de/fertigung/maschinen/innovativer-dreiklang/#slider-intro-6
エンドユーザであるAudiがDMG Moriと連携して開発した
それだけなら特別でもないが
スライドカバーメーカの協力が無ければ実現は難しかった
Audiが欲しかった機械は?
Audiの本社工場Neckersulmの金型部門に
フォルクスワーゲングループで最速・最高精度の大物ワーク加工機を導入する
それを実現するには新しく機械を開発する必要があった
どんな機械が必要かを協議した結果
- ガントリータイプの機械
- 高速な仕上げプロセス
- 高い形状精度
手作業による修正工程を大幅に短縮して、ホンモノの生産性向上を達成することを目指した
問題は、そんな機械が現実的に存在しないことだった
業界で経験とノウハウを持つパートナーとの連携が必要だという結論になった
DMG Moriに話を持ちかけた
要求仕様書に基づいて開発を担当したのは
Deckel Maho Pfronten GmbHの開発グループだった
その方針は
- DMU Gantry linearをベースに、最高の面粗度をこれまでに無かった速度で実現する
- 3 m/s2が可能なリニアモータ駆動の採用
- 機械構造の静的・動的剛性を強化
- 広範な温度管理による温度変化対応
DMU Gantry linearというのはどんな機械か?
下の動画を見てください
DMU 600 Gantry linear の構造・仕様は
- Xが固定のベッド
- Y軸は一体もののコラム
- 横の壁は基礎の一部で、強化コンクリート製
- 最大ワーク荷重:150 t
- テーブルサイズ:5000 x 3000 mm
- 加工範囲:6000 x 3500 mm
- ラムは干渉を抑えた構造で最大ストローク 2000 mm(オプション)
- 主軸:
- 12000 min-1/300 Nm
- ギヤ主軸 max. 1445 Nm
- モータ主軸 max. 28000 min-1
- ヘッドチェンジャ
- C/Aヘッド
- C/Bヘッド
リニアモータは良いけど・・・
リニアモータはかなり強力な永久磁石を使うので
切粉からしっかり保護する必要がある
スライド保護カバーの登場となるが、今回採用されたのは
Arno Arnold GmbH
自社内にあるテスト台は
送り 240 m/min、加速度 5G まで可能
ジャバラと金属プレートの構造のものより30%薄くできる
薄くできるということは、機械のサイズを小さくできるということにつながる
軸が速く動くと、一緒に動くスライドカバーへの負荷も高くなりますね
高速加工では重要な構成要素になります
ステンレススチールのプレートを工具を使わずに、個別に、しかも短時間で交換できるのは
大きなアドバンテージですね