Maschinenmarkt誌の2022/10/28付にその記事が公開されている
ドイツのTrumpf社の会計年度は、7月1日から翌年の6月30日まで
その決算書が10月に公開された
記事ソースはTrumpfのプレスリリースなので、そっちを見てもらってもいいですね
コロナ禍でも史上最高の売上高を達成
売上高が、42億2300万ユーロだったので
現在のレートで円換算すると約6110億円ということになります
創業99年だそうですが、受注は55億7700万ユーロ(約8070億円)あったので
創業100周年は、良い成績のまま迎えられそうです
決算概要
2021/2022 | 前年比 | 2020/2021 | ||
売上 | 百万ユーロ | 4,223 | 20.5% | 3,505 |
部門別 | Machine Tool | 2,289 | 12.2% | 2,039 |
Laser Technology | 1,609 | 21.7% | 1,322 | |
EUV | 795 | 81.6% | 437 | |
国別 | NL | 838 | 81.9% | 461 |
USA | 656 | 35.4% | ||
GER | 589 | 1.6% | 579 | |
CN | 575 | 9.6% | 525 | |
受注 | 百万ユーロ | 5,577 | 42.1% | 3,925 |
EBIT | 百万ユーロ | 468 | 26.8% | 370 |
従業員 | 人 | 16,554 | 14,767 | |
*EBIT:利払前・税引前利益 |
EUVビジネスフィールドが売上に大きく貢献
EUVは、Extreme Ultra Violetの略。極端紫外線のことですが
主に、半導体製造装置のリソグラフィ用光源として最近使われているものです
Trumpfはレーザー発振器のメーカでもあります
2021/22期の国別売上高では、オランダが初めてランキングのトップになりましたが
それは半導体製造装置メーカASMLにEUVを販売したことによります
どんなリスクを想定しているか?
今後の景況には慎重な見方をしている。その理由は
- サプライチェーンが機能するか
- 高いインフレ率
- 材料費、エネルギー費高騰
- 輸送費高騰
その他のリスクとして
- 地政学的不安定要素
- ウクライナ戦争
- 米中の緊張
今後も積極的に投資する
昨年はコロナ禍で投資を抑えていたが
2021/22では再び積極的に218百万ユーロ(前年:145百万ユーロ)を投資した
主に、土地、建物、技術設備などだが
企業買収も積極的だ
- 昨年7月にドレスデンのソフトウェア会社Zigpos GmbHへの出資比率を25.1%から51.3%へ増やした。
- 2021年8月にはイタリアのStarmatik S.r.l.との戦略的パートナーシップ合意、そして25.1%出資。
- イタリアのSisma S.p.A.の出資比率が2021/22年末年始にかけて55%だったものを100%とした。
- 2022年初頭にはイエナのActive Fiber Systems GmbH(AFS)に80%出資して、超短パルスレーザーシステムの開発を進める。
- 2022年5月には、インドのTrumpf Metamation Private Limitedの残り49%を買い取った。
今後も開発に力を入れていく
開発部門の人員を14.3%増やして2623人(前年:2294人)とした
開発費は448百万ユーロで、前年の382百万ユーロから大幅に増加した
売上が大きく増えているので、開発費の割合は10.6%(前年:10.9%)と微妙に下がっているが、
業界平均を大きく上回る開発費を投入している。
まとめ
半導体製造は、今後しばらくは重要な産業としての地位を保つだろう
その中で、レーザーという基幹技術を持っているTrumpfは強味を持っている
半導体のリソグラフィ装置や3Dプリントなど
今後とも需要が増加するセクターに製品を供給できることは企業の業績に大きく貢献するだろう
やっぱり強味があって、他の追随を許さない
その強味を客観的に見ながら、さらに強化・発展させることを惜しまない
そういう姿勢は企業にとって重要ですね
偉いお父さんのDNAがちゃんと引き継がれてるなー