ドイツの機械設備産業は存亡の危機にある

スイス

これはコンサルティング会社Bain & Companyがまとめた報告書です。

DACH地域とひとまとめにされるのは、D(ドイツ)、A(オーストリア)、CH(スイス)のことです。

USA、中国との比較で分析されています。

(出典:Bain & Company)

注1)DACHは、D(ドイツ)、A(オーストリア)、CH(スイス)

注2)調査対象:機械設備産業に従事する2021年の売上高1億ユーロ以上の企業

全体で219社。内訳は、DACH57社、USA99社、中国63社。

注3)分類を分かりやすいように意訳すると

Krisenchampions(危機チャンピオン):賢い
Solide finanziert, flexible Kostenstruktur:やりくり上手、コスト意識高い

Kapitalstarke Unternehmen(財務体質が強い企業):贅沢
Solide finanziert, aber Schwächen auf Kostenseite:お金持ち、コスト意識低い

Wackelkandidaten(不安定企業候補):微妙
Auf Kostenseite gut aufgestellt, aber hohe Verschuldung belastet:コスト意識あり、負債多い

Krisenkandidaten(危機企業候補):ヤバい
Hohes Risiko aufgrund starrer Kostenstruktur und hoher Verschuldung:コスト意識低い、負債多い。リスク大。

DACHの厳しい現状

機械・プラントメーカは、あまり危機感を持っていない。
それは、現状の受注残が高いレベルにあるからです。

しかし、世界的な景気後退が予見されており、その影響の兆しが見え始めています。

ドイツ、オーストリア、スイス企業の28%が危機的状況にあるとレポートでは分析されています。
課題への取り組みを怠らないことが、今後非常に重要になってきます。

DACH地域の機械・プラント関連企業は、しばらくの間、構造的な問題に悩まされてきた。
短期間に2度目の例外的とも言える経済状況の煽りを受けて、一部の企業にとってはこれがアキレス腱となる可能性がある。

特に、硬直的なコスト構造が不利だという。

USA企業は不況の時に実力を発揮する

一方で、アメリカ企業は、不況になってもコスト調整を素早くすることができる。

米国機械メーカの2021年の利益(EBIT)は平均13.1%あり、DACH企業の9.3%と比べると大きな差がある。

注)EBITは、Earnings Before Interest, Taxes。支払利息と税金の影響を除いた企業の利益のこと。

中国の企業は大きな成果を上げている

中国を2006年から2021年までの長期的に分析すると、
その経済的台頭は、機械・プラント関連企業の分野でも、世界の業界地図をかなり変えている。

その間、中国上場企業の売上高は毎年9%増加しているのです。

ドイツ、オーストリア、スイスの3カ国はというと、年平均3%だった。

DACH地域の機械メーカが、中国企業との競争で市場シェアを維持したいなら、できるだけ早く対策を講じるべきだ、と力説しているのです。

ドイツ、オーストリア、スイスの企業はどうする?

厳しい状況ばかり述べてきたが、DACH地域の機械・プラント系企業の28%は、危機チャンピオンと言われるカテゴリに分類されている。

これらの企業は、財務状況が良好でコスト意識も高いので、グローバルな競争に尻込みする必要はない。

また、資金力がある企業が26%あります。

一方で、微妙な企業が18%あり、このカテゴリの企業は資本力が弱いので、不況が長引くと途中で息切れする危険性がある。

参照した記事

2023年1月31日付の記事です。

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