eモビリティと部品加工 – 板金加工

自動車

Maschinenmarkt誌に掲載された記事です

E-Mobilität fordert flexiblere Formen der Blechverarbeitung
(Bild: Käfer) Die Entwicklung der Elektromobilität fordert die Automobil-Zulieferindustrie. Es werden völlig neue Teile benötigt und gleichzeitig mehr Flexibili...

板金加工に限らず、部品製造全般にも同様のことが当てはまると思います

eモビリティで部品加工に必要な要件とは?

eモビリティの動向が自動車部品下請けにとっては

  • 全く新しい部品が必要になる
  • 加工プロセスの更なる柔軟性が要求される

なので、チャンスをものにするのに必要な要件は

  • 板金加工業者は自動化製造ラインを最適化する
  • 柔軟な金型・ツールを導入する

EVの主流はどうなるかわからないが、部品は・・・

電気自動車(EV)で、長期的に何が主流になるのかは決まっていないと言います
それは、以下のどっちだ、ということです

  • バッテリーの電気だけを使ってモータで走る車=BEV(Battery Electric Vehicle)
  • 水素と酸素で発電する燃料電池で走る車=FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)

しかし、部品レベルで見ると、そんなことはどうでもよくて

ステーター・ローターの製造だろうが、燃料電池のバイポーラ・プレートの製造だろうが
その根幹には、いずれにせよ板金加工の製造工程があると言うのです

EVの技術的方向性と下請けの投資

大量の部品を加工するのに、最適化された金型・ツールがあると良い、とある一方で
現実的に、ほとんどの企業は、

  • 新しい金型・ツールを買う
  • 新しいプレスを買う
  • その他必要な設備を買う

そういう大きな投資をするには
EVの技術的方向性が定まっていない今のタイミングでは二の足を踏む

モータにも、技術的形態がいろいろあって、それぞれにメリットとデメリットがある

外部励磁同期モータからラジアル磁束非同期モータまでいろいろ種類があって
その設計や機能は大きく異なる

なので、寸法が変わると板金も全く別物になってしまう

電気自動車向け部品加工の投資をさらに複雑にしているのは

電気自動車の場合、システムトポロジーが非常に多く考えられることも複雑な要因となっている
システムトポロジーって難しい言い回しだな・・・

要するに、組み合わせの可能性が多いってことなんだけど
例えば、どんなことかというと

  • 1つまたは2つの電気モータを備えた軸並列設計
  • ホイールに近い同軸システム

こんな感じで、駆動の方法だけでもいろいろある
言葉では分かりにくいだろうから、イメージが湧くように、いくつか写真を集めてみた

出典:https://www.nzz.ch/mobilitaet/auto-mobil/audi-ingenieur-marc-baur-erklaert-den-elektronischen-quattro-ld.1545152
出典:NTN https://www.ntn.co.jp/japan/news/press/news201800034.html

今加工している部品が、その後も予定どおりの数量で必要なのかどうか分からない
開発のスピードが速い商品にはあるあるの問題ですね

開発のスピードに製造が追いついていけない

下請け業者にとってみれば、そういう状況で新規に機械や金型・ツールの投資はできない
そういう問題がある

EV時代に下請け業者が生き残るための対応方法は?

じゃあ、どうしたらいいの?
ってことで提案されているのが

フレキシブルで自動化された加工ラインの構築

特別に設計された加工個数を意識した金型・ツールを導入して
どんどん変わる要望にフレキシブルに対応する、ということ

その基本的な考え方は、「類似性の原理」に基づいている

  • 部品の属性や要素が類似しているか同じであれば
    パンチング・ベンディング金型でのモジュール型製造プロセスが成り立つ
  • 同じ金型でいろいろな部品を加工できて、製造フレキシビリティが上がれば
    一個の金型でより多くの部品を加工できるので、部品単価を抑えることができる

フレキシブルで自動化された製造ラインには、その他にもメリットがある

  • 早く変化する顧客の要望に対応できる
  • 小ロット品やプロトタイプにも対応しやすい

部品加工下請け業者の、現実的な課題はなんだろう?

多くの企業には、製品とその製造プロセスに何が必要かのノウハウ蓄積はある
eモビリティが急激に伸びている現状でジレンマになっているのは

いま持っている機械設備で新しい部品を加工しなければならないこと

従来と同じように製造し続けていては、製造方法をガラッと変えることを思いつかない

ここで金型・ツール製造業者が重要な役割を果たす、と。
 まぁ、言っているのが金型・ツール製造業者なので、当然といえば当然か・・・(笑)

フレキシブルな自動化ラインを導入するのは
標準金型・ツールの導入と比べたら、そう難しくない

フレキシブルな金型・ツールってどんなものか?
これを見極めるのは、ものすごく難易度が高い!

というのは
いろいろある部品の形を、初めから知らないとできないから

それを実現しようと思ったら

金型・ツール選定のタイミングで、トータルの製造プロセスを考慮するしか無い!

この金型・ツール製造業者は
金型だけじゃなく、金型周りの全体的なアドバイスに力を入れている、という

経験から言えるのは

  • 自動化を進めれば、導入直後からコスト削減効果が期待できる
  • 今後、短納期で変更に対応できるのは大きな競合優位性に繋がる

まとめ、というか個人的考察

  • 電気自動車は内燃エンジン自動車のユニットを置き換えることから始まっている
  • 普及するための大きな問題の一つは、価格が高いこと
    補助金が無ければ買う人は少ない
  • 今後は、用途を満たしつつ、コストが下がる方向で、どんどん開発が進む
  • 自動車を構成するユニットメーカが、当面は増える
    技術開発力とコスト競争に耐えられないメーカは淘汰されるようになる
  • いまの自動車メーカは、エンジニアリング会社的な存在になる
    ユニットメーカとの協業が当たり前になる
    一方で、デジタルカメラのように自動車を作っていなかったメーカが参入する
  • 分業が進む中で、製造プロセスまで考慮したらコスト低減につながると思うが
    現実的には、企業の淘汰という形で業界が変わるっていくような気がする
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